はじめに:スーツのボタンの謎
40代メンズの皆さんは、スーツやジャケットの一番下のボタンを意識的に外していますか? 「一番下は留めない」が常識とされていますが、その始まりについては面白い都市伝説が語られています。今回はこの謎に迫りつつ、40代男性がスーツを着こなす際のポイントや背景知識も加え、読み応えのある内容に仕上げました。
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都市伝説:太った国王エドワード7世説
一般的によく聞くのが、英国王エドワード7世(皇太子時代はプリンス・オブ・ウェールズ)にまつわる逸話です。19世紀末の彼は美食家として知られ、次第にふくよかな体型になっていきました。ある日、晩餐会で座った際にジャケットの下のボタンがきつくて留められず、そのまま開けっ放しにして過ごしました。その場にいた貴族たちは王の面子を保つためにボタンを外し、その姿がファッショントレンドになっていったというものです】。このエピソードは紳士文化を語る場面でしばしば引用され、「太っちょ国王が今のルールを作った」というユーモラスな話として広まりました。
この説の真偽は?
しかし、この伝説を裏付ける一次資料はほとんど存在せず、真偽は今も不明です。現代のファッション史家やスタイリストの多くはこの話を「面白い逸話」として紹介しつつも、史実としては採用していません。実際には、19世紀後半から20世紀初頭にかけてジャケットのデザインが変化し、下のボタンを外した方が動きやすくシルエットもきれいだったためにマナー化したと考えられています。とはいえ、この都市伝説はファッション好きの間で語り継がれ、スーツ文化の豆知識として楽しめるでしょう。
スーツのボタンマナーの本質
都市伝説は置いておき、実際にスーツのボタンをどう扱うべきか見てみましょう。
- フォーマルな二つボタンのスーツでは上のボタンのみ留めるのが基本です。下のボタンを外すことでウエストのくびれが自然に見え、シルエットが美しくなります。股上や腰回りに余裕が生まれ、座ったときも生地に負担がかかりません。
- 三つボタンのスーツの場合は「Sometimes, Always, Never」という英国スタイルの覚え方が有名です。一番上は状況によって留めても留めなくても良い(Sometimes)、真ん中は必ず留める(Always)、一番下は留めない(Never)というルールです。日本では三つボタンをラペルロールさせて二つボタン風に着る場合も多く、その場合は真ん中だけを留めるのが無難でしょう。
- ベスト(ウェストコート)も同様で、下のボタンは開けて着るのが粋とされています。これも立ち座りの動作を美しく見せるための工夫です。
スーツは体型を整えて見せるための道具です。下のボタンを外すことで胸から腰にかけてのラインが自然に流れ、胴回りの張りを感じさせません。40代の男性は体型が変化しやすい年代ですが、正しいボタンの使い方を知ることで、よりスマートに見えるはずです。
エドワード7世とメンズファッションの関係
エドワード7世はスーツスタイルを洗練させた人物としてたびたび登場します。彼が好んだゆったりとしたシルエットやカジュアルな装いは、当時の堅苦しいドレスコードに変化を与えました。また、彼の時代にはボー・ブランメルが提唱したシンプルでエレガントな装いがすでに広まり、現代のスーツ文化の基盤となっていますランメルの「清潔感と体に合った服」という哲学は40代メンズにとっても重要であり、ジャケットのボタンマナーもその延長線上にあると言えるでしょう。
40代メンズへの着こなしアドバイス
シルエット重視でジャケットを選ぶ
40代になると体型の変化や貫禄が出てくるため、ジャケットのサイズ感が重要です。肩幅と胸囲に合わせ、ウエストは軽く絞られたシルエットを選びましょう。下のボタンを外す習慣は、こうしたシルエットを引き立てるためのテクニックの一つです。
座るときはボタンを外す
立っているときはボタンを留め、座るときはすべて外すのが基本マナーです。特に車を運転する際や会議で長時間座る際は、生地の伸びや破損を防ぐためにもボタンを外しましょう。
ベストとサスペンダーの活用
年齢とともに腹部周りが気になってくる人は、ベストやサスペンダーを取り入れるのもおすすめです。ベストは腹部をカバーしつつVゾーンを強調でき、サスペンダーはパンツの位置を安定させるため、パンツがずり落ちて腰回りがだぶつくのを防げます。ベストの下のボタンは外すのが粋とされるため、都市伝説を思い出しながら楽しんでみてください。
都市伝説の楽しみ方と注意点
ファッションにまつわる都市伝説は、歴史的な事実と噂が混ざり合いながら広まるものです。信じるか信じないかはあなた次第ですが、雑学として会話のネタに使えばコミュニケーションのきっかけになります。しかし、あくまでも真偽不明の噂話であることを忘れず、他人に断定的に語るのは避けましょう。都市伝説に興味を持ったら、実際のファッション史やエチケットの資料を読み、正しい知識も同時に身につけることが大切です。
まとめ
- スーツやベストの一番下のボタンを外す習慣は、英国の王族が始めたという都市伝説があるが、確かな証拠はない。
- ボタンを外す目的は動きやすさとシルエットを良く見せるためであり、現代でも守るべきマナーである。
- 40代男性は体型に合ったシルエットと正しい着こなしで、スーツスタイルをより魅力的にできる。
- 都市伝説は話のネタとして楽しみながら、歴史的な事実と混同しないよう注意しよう。
このように、スーツのボタン一つにも奥深い歴史と噂が存在します。次回は別の都市伝説を取り上げ、さらに掘り下げた内容をお届けしますのでお楽しみに!